エスケープ!

エスケープ!エスケープ!
1,365円

シュウは会社の内定も決まり、かわいい彼女もいる大学四年生。春からは忙しく働き、数年後には彼女と結婚して子どもをもうける予定―。「でもなあ、そんな人生って…正直、楽しそうじゃないな」将来は約束されている。でも、その将来には何も刺激がない。ぜいたくな不満だと頭では理解している。けれど…。そんなある日、シュウは人生を変えるかも知れない雑誌記事を見つけてしまった。「プロが語る!空き巣手口のすべて!」その日からシュウの日常は一変。かつてない情熱で入念に計画を立て、人生で初の興奮を覚えながらの綿密な下見。すべては完璧で、安全だと思われた空き巣計画。が、しかし…忍び込んだ家の中にはなんと―。

お笑い芸人アンジャッシュの渡部建の小説デビュー作品。
登場人物の誤解が笑いを呼ぶ、シチュエーションコントが得意なアンジャッシュらしい内容で、アンジャッシュのコントが好きな人は勿論、そうでない人も楽しめそうな作品です。
ただし「小説」っぽさはあまりなく、どちらかというとライトノベルやケータイ小説に近いノリでサラっと読めてしまいます。読後の感想としては、コント中心のライブや喜劇を観た後の気持ちに近いかと。
そして読んでいてどうしても物語がアンジャッシュの2人で脳内再生されるので、コントの台本を読んでいるような気分にもなります。
ともあれ「笑い」に至るまでの仕掛けがしっかり構築されているので、状況をしっかり把握しながら楽しめます。前の場面を確かめながら読めるのも小説ならではの良さかと。
電車の中だと笑いが漏れてしまうので、公共の場ではなく自宅で読むことをオススメします。