葉桜の季節に君を想うということ
2011-06-23
「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵・成瀬将虎は、同じフィットネスクラブに通う愛子から悪質な霊感商法の調査を依頼された。そんな折、自殺を図ろうとしているところを救った麻宮さくらと運命の出会いを果たして―。あらゆるミステリーの賞を総なめにした本作は、必ず二度、三度と読みたくなる究極の徹夜本です。
2003年度の「このミステリーがすごい!」第1位、「本格ミステリ・ベスト10」第1位、「週刊文春ミステリーベスト10」第2位、「第4回本格ミステリ大賞」小説部門受賞、「第57回日本推理作家協会賞」長編および連作短編部門受賞と、各所で話題になった一冊。
ミステリーというジャンルは、真実が分かった時に読者としてどれだけの衝撃を受けることができるか、というのが一つの指標になりえますが、この作品は凄かったです。
文章上の仕掛けによって読者のミスリードを誘う「叙述トリック」という手法がありますが、その叙述トリックの中でも最高峰に位置すると思いました。
詳しく書くとネタバレになってしまうのですが、人間の先入観をうまく利用して、読者の想像力を作者の意図通りに導いていく展開は見事の一言。
そういう内容であるからこそ、映像化は難しいだろうなー、という内容でもあります。
と、詳しく説明できないのが非常にもどかしいです。
以前紹介したイニシエーション・ラブが好きな方にはオススメの一冊。