東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~
2007-10-05
東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~ リリー・フランキー 扶桑社 2005-06-28by G-Tools |
それはまるで、独楽の芯のようにきっちりと、ど真ん中に突き刺さっている。東京の中心に。日本の中心に。ボクらの憧れの中心に。この話は、かつて、それを目指すために上京したオトンと、ボクと、オカンのちいさな話です。
リリー・フランキーという名前を最初に認識したのは高校の頃、「VOW」に書かれていたイラストでした。他には安斎肇やスージー甘金、しりあがり寿なんかがイラストや漫画を描いていて、そのサブカル的な界隈の人なんだろうな、という認識しかありませんでした。
この本を手に取ったときも、それまでリリー・フランキーの出演していたテレビやメディアをあまり観ていなかったことから、最初の印象から代わらないままだったので「なんであんなイラストばかり描いてる人が書いた本がベストセラーなんだろう」くらいの気持ちでした。
淡々と語られる、作者の子供時代。問題のある家庭ながらも、「ボク」のために一生懸命働く「オカン」。「ボク」は成長し、堕落した学生生活を経てイラストレーターとなり、そしてまた東京で「オカン」と暮らし始める、と簡単にいうとこんな流れなのですが、「ボク」の気持ちの変化や、それに対する「オカン」の行動がおかしく、切なく、魅力的に描かれてします。
しかしこの本読んで唯一失敗したと思ったのは、後半部分を電車の中で読んだことでした。今まで淡々と、そしてどこか飄々としてた「ボク」の感情の高まりとともにこちらの涙腺も全開。涙止まらない!
後半部分を読むときは自宅など、思いっきり泣ける場所で読まれることをオススメします。