白い巨塔

白い巨塔〈第1巻〉 (新潮文庫)
白い巨塔〈第1巻〉 (新潮文庫)山崎 豊子

新潮社 2002-11
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国立大学の医学部第一外科助教授・財前五郎。食道噴門癌の手術を得意とし、マスコミでも脚光を浴びている彼は、当然、次期教授に納まるものと自他ともに認めていた。しかし、現教授の東は、財前の傲慢な性格を嫌い、他大学からの移入を画策。産婦人科医院を営み医師会の役員でもある岳父の財力とOB会の後押しを受けた財前は、あらゆる術策をもって熾烈な教授選に勝ち抜こうとする。

大学病院の教授選から始まり、医師の世界で繰り広げられる愛憎渦巻く人間ドラマを描いた、社会小説の金字塔。
財前五郎と里見脩二という、どちらも医師という職業について異なる信念を持ちながら、ぶつかりあいながらも互いを認める2人の関係が一本ストーリーの中心にあり、それを取り巻く様々な人々の思惑や考えが渦巻く「白い巨塔」の内外で繰り広げられる人間模様に引き込まれ、文庫本5巻があっという間でした。
過去の話とはいえ大学病院の内情や医療裁判についても詳細な取材の上で書かれており、今まで持っていた病院や医者に対するイメージとはまた違ったものの見方が出来るようになるかと。
手術や病院内の様子から登場人物の家庭、酒の席までも詳細かつ臨場感のある描写のため、文章を追いながら、ドラマを観ているような錯覚すら覚えました。
何度も映像化されているのも納得いく程の傑作。
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