悪人

悪人
悪人

posted with amazlet at 13.04.25
吉田 修一
朝日新聞社

保険外交員の女が殺害された。捜査線上に浮かぶ男。彼と出会ったもう一人の女。加害者と被害者、それぞれの家族たち。群像劇は、逃亡劇から純愛劇へ。なぜ、事件は起きたのか?なぜ、二人は逃げ続けるのか?そして、悪人とはいったい誰なのか。

久しぶりに震えるような読後感を味わった一冊。
「悪人」とは誰か?
それを考えながら読み進めると、登場人物、特に清水祐一の心情が痛いくらい心に響きます。
殺害された石橋佳乃の人生、容疑者である清水祐一の人生、そして祐一と共に逃亡する馬込光代の人生。
それぞれの人生の色々な歯車が微妙にズレながら、本人たちにしか理解することのできない物語を紡いでいき、胸が締め付けられるようなラストへ。
真実はどうだったのか、そんなことを考えながらじっくりと読みたい一冊。
映画化も話題になってたようなので、機会を見つけて映画版も是非視聴したいと思います。