[小説] 少女庭園
2019-11-12
卒業式会場の講堂へと続く狭い通路を歩いていた中3の仁科羊歯子は、気づくと暗い部屋に寝ていた。隣に続くドアには、こんな貼り紙が。卒業生各位。下記の通り卒業試験を実施する。“ドアの開けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の人数をmとする時、n‐m=1とせよ。時間は無制限とする”羊歯子がドアを開けると、同じく寝ていた中3女子が目覚める。またたく間に人数は13人に。脱出条件“卒業条件”に対して彼女たちがとった行動は…。扉を開けるたび、中3女子が目覚める。扉を開けるたび、中3女子が無限に増えてゆく。果てることのない少女たちの“長く短い脱出の物語”。
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Kindle本は頻繁に色んなセールがされるわけですが、そんなとき手頃な値段でレビューがそこそこ書かれている本を事前知識なしに買う、というのをよくやります。当たり外れがもちろんありますが、たまに予想もしない良書に出会うという嬉しいサプライズがあります。
この本もその一冊。 ラノベっぽいタイトルと表紙で、最初の数ページで「はいはい、こういう感じね」と思い込み、先が読める感じのバトルロイヤルものかと思ったら、後半で物凄い期待を裏切られました。
理不尽な設定をとことん活かした壮大な物語。後半の怒涛の展開がこの作品の真骨頂です。「最初にして最後のアイドル」という 第4回ハヤカワSFコンテスト特別賞 などの賞をとったSF小説を読んだ時もこれに似た戦慄を覚えましたが、衝撃度は此方のほうが大きかったです。
倫理的に度を越えた描写があるので、万人にお勧めできる是非先入観なしに読んでほしいです。