[Book] 夏への扉

ぼくの飼い猫のピートは、冬になるときまって「夏への扉」を探しはじめる。家にあるドアのどれかひとつが、夏に通じていると固く信じているのだ。そして1970年12月、ぼくもまた「夏への扉」を探していた。親友と恋人に裏切られ、技術者の命である発明までだましとられてしまったからだ。さらに、冷凍睡眠で30年後の2000年へと送りこまれたぼくは、失ったものを取り戻すことができるのか──新版でおくる、永遠の名作。

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夏が近づくと読みたくなるSFの良作。

なんと世界初の映画化をするというので、再読しました。

時間旅行という、SFではオーソドックスでありながらも物語の組み立てが難しいテーマを上手く利用し、読み手をひきつける人間ドラマ。

いつも内容を忘れかけた頃に再読するので、次々と展開する物語にのめりこみ、毎回一気に読んでしまいます。

一緒に会社を経営している仲間に裏切られ、騙された発明家が冷凍睡眠によって30年後の世界へ。未来で生き続ける過去の自分の発明。変わった世界。そういうものに触れながら、大胆な計画を立てる主人公。

この作品の中の「2000年」は手塚治虫世界の未来のような超ハイテク時代として設定されており、2000年はそんなに技術発達してません!というツッコミをしたいところですが、作品が書かれたのは1950年代。ということは既に物語の中の1970年は結構な「未来」ということになるのか、と納得。

これぞSF!というロマンとアドベンチャーと科学。

時間を超えたドラマを扱った名作は数あれど、その中でも5本の指に入る名作かと思います。