それでもボクはやってない
2008-06-02
それでもボクはやってない スペシャル・エディション(2枚組) 加瀬亮;瀬戸朝香;山本耕史;もたいまさこ;役所広司 周防正行 東宝 2007-08-10by G-Tools |
周防正行監督が10年のブランクを経て完成させ、これまでの作風を一変させた社会派の1作。電車内で痴漢の容疑をかけられた青年が、無実を訴え続けるも、証拠不十分のために起訴されて裁判で闘い続けることになる。監督が痴漢冤罪事件を取材して練り上げた物語だけあって、細部まで綿密にリアルな展開。これまでの裁判映画では描ききれなかったシーンがいくつも登場し、最後まで観る者を惹きつけて離さない作りになっている。
緻密な取材を重ねたであろう、細部までの作りこみの上に乗っかる、重いテーマ。
観終わったときには精神的に強いダメージというか疲労が残りました。
しかし全ての電車通勤者は是非見るべき作品かと。
裁判制度への疑問を問いかける登場人物たち。それに応える弁護士。
合理的なような、理不尽なような、日本の司法がこれまで積み上げてきた制度があまりに不完全なものであるかが、彼らの体験する「裁判」によって視聴者にも分かりやすく伝えられます。
「裁判」は事実を明るみにする場所ではなく、有罪かどうかを「判断」する場所であるということ。
これを分かってると分かってないとじゃ裁判というものに対する心構えが全く違うかと。
電車通勤者だけでなく、これから始まる裁判員制度の前にも観ておく価値のある一本。